【専門家監修】クーイングとは?喃語との違いや対処法、疑問を解説!

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お世話

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。

「クーイング」という言葉をご存知ですか?聞いたことがないという人もいると思いますが、赤ちゃんの成長を感じられるかわいい言動なんですよ。
そのときだけしか聞くことのできないクーイング。そもそも、なぜ赤ちゃんはクーイングをするのでしょうか?しない場合はなにか問題があるのでしょうか?
今回は、クーイングに関する様々な疑問や不安について解説をしています。

クーイングとは?

生まれて数ヶ月の赤ちゃんが唇や舌を使わずに発声する、独自の言葉を『クーイング』と呼びます。「あー」「うー」「くー」などといった独特の発声が、鳩の鳴き声に似ているとされることからクーイング(cooing)と名付けられました。
通常、赤ちゃんは空腹や不快感、眠気などの様々な感情を泣くことで伝えようとしますが、クーイングは意志表示でははく、赤ちゃんの機嫌が良くリラックスしているときに出やすい声とされています。

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クーイングの役割

ただ声を発する現象というわけではなく、クーイングにもきちんと役割があります。

発声練習

生まれてすぐの赤ちゃんは発声するための器官が発達しておらず、泣き声以外で普通に声を出すことはほとんどありません。成長するにつれ徐々に喉や声帯が発達し、吐き出す息を利用して声を出せるようになります。
そうしてクーイングを繰り返すことで徐々にコントロールして発声できるようになり、言語の獲得に向けてのスタートを切るのです。

コミュニケーション

赤ちゃんは大人が思っているよりも周囲を観察し、情報を得ています。
クーイングは意思表示としての発声ではありませんが、クーイングを発するたびに大人が簡単な返事をするだけでも、赤ちゃんは大人が自分の声に対しリアクションをしていることはちゃんと理解します。そうしたやり取りを重ねて、コミュニケーション能力の基礎の発達にも良い影響を及ぼします。大人も赤ちゃんの発する声に合わせて、同じ言葉を模倣してあげましょう。

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いつからクーイングするの?

早ければ生後1ヶ月ほどから、そうでなくても2~3ヶ月ごろによくするとされています。喉や声帯が徐々に発達することで、クーイングが自然に増えていくからだと考えられています。
始めは赤ちゃん自身も意図して発声しようとするのではなく、たまたま息を声に変えることができて意図して声を出せることに気づき、それからクーイングを繰り返すようになるのだとか。
リラックスしているときに、自分の発声を楽しんでいるんですね。

喃語との違いは?

クーイングと喃語は似ているようですが違いがあります。
クーイングが唇や舌を使わずに喉からただ発せられる母音だけの声であるのに対して、言葉を習得する前段階であるとされる喃語は唇や舌の動きを活用できるようになるため、さらに発声のバリエーションが豊富になります。
「あーあー」「だーだー」という風に連続した音を発するようになり、さらには唇を使って発声できるようになるため破裂音や鼻濁音が混じるようになります。そのため、「んまんまん」「ばぶー」といった赤ちゃんらしい発音が聞けるようになるのも喃語から。
体の発達に伴い喃語を発するようになると、唇や舌だけでなく声帯や口角、横隔膜などの使い方も次第に覚え、肺から送り出す空気をコントロールして声に変えることもできるようになります。そうしてよりはっきりとした発音をするようになり、発声の精度を徐々に上げていくのです。

早ければ生後3ヶ月ごろから、多くの赤ちゃんは生後半年ごろから徐々にクーイングから喃語に移行し、少しずつ様々な発声をするようになります。

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クーイングには返事をしよう

赤ちゃんがクーイングを発したら、それに対してオウム返しをしたりなにか話しかけたり、返事をしてあげましょう。会話が成立するわけではありませんが、赤ちゃんは自分の声に大人が反応していることを理解し喜ぶことがほとんどです。反応してさらにクーイングしたり、にっこり笑ってくれたりすることも多々ありますよ。
そうしたコミュニケーションを図ることで発達に良い影響を与えるのはもちろんのこと、親子の絆を深める大切な時間にもなります。

もちろん、クーイングしていなくてもこちらからたくさん話しかけましょう。それらの話しかけは発達を促す良い刺激となります。
今はまだ言葉の意味は理解できなくても、赤ちゃんは話しかけられた言葉をちゃんとインプットしています。いずれ言葉を話すようになると、それらの言葉も活用して表現しようとするようになると言われていますよ。

クーイングをあまりしない、少ないのはおかしい?

さて、そんなクーイングですが、「育児書に書いてあるとおりの時期になってもクーイングをしない」「同じ月齢の子たちと比較してクーイングをごくたまにしかしない」などの悩みもしばしば聞かれます。
クーイングに限らず、一般的とされる時期や行動を我が子が辿っていないとつい不安になってしまいますよね。

個人差があることをまず念頭に置く

結論から言うと、クーイングをしなくても少なくても異常ではありません。
同じ赤ちゃんでも体の大きさや発育が違うように、ことばの成長やその表れ方にも個人差があるものです。育児書の内容や他の子と比較して不安になることはありません。
また、喃語を発するまでクーイングをしなかった、ごく短い期間クーイングをしてそこからしなくなった、といった子も普通にいます。
そこからもわかるように、クーイングにも個人差があって当然なのです。開始する時期や頻度にもばらつきがあったり、クーイングそのものをしなかったりしても不思議ではありません。
クーイングをしない、クーイングが少ないからといって口数が少ない子に成長するということもないので、育児書などに記載されているのはあくまでひとつの目安と考え、気楽に構えましょう。

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クーイングがないことがどうしても気になる場合は?

異常ではない、と頭でわかっていても気になってしまう人もいるかと思います。そんな場合は、冷静に状態を確認してみましょう。

大人からしっかり話しかけてみる

赤ちゃんはクーイング以前の早い段階から、大人の声や仕草に反応しているものです。声のするほうに顔を向けたり、大人の表情を観察するようにじっと見ていたり…そうしたところから、すでにコミュニケーションの基礎の発達が始まっています。
もちろんクーイングをしなくても、追視など含め応答性が見られるようであればコミュニケーション能力はちゃんと発達していると考えられます。

発声より応答性を確認する

赤ちゃんは視力より先に聴覚が発達しており、胎児のときから様々な音を聞き、母親や周囲の人の会話から言語の響きのパターンなどを覚え始めていると言われています。
生まれてからも周囲の音や大人の声を聞いて刺激を受け、発声するための器官とコミュニケーションの基礎が発達するに従い、自分からも声を発するようになります。
発声自体がなかなか出てこないだけであれば個人差によるものであることがほとんどですが、大きな物音や大人の話しかけに対する応答性が薄いなどといった様子が見られるようなら、かかりつけ医に診てもらったり定期検診の際に相談してみたりすると良いでしょう。
生後の聴覚スクリーニング検査を受けていない場合は、念のため一度受けておくと安心です。

なお、音の聞こえにも個人差があるものです。特に生後間もない赤ちゃんは、耳の中に羊水がまだ残っていたり、耳垢などにより聞こえが悪くなったりしている場合もあります。そうでなくても、聞こえていても音に反応を返すようになる時期がほかより遅い子もいますから、一般的な目安と異なるからといってすぐになにか異常があるとは限りません。
不安が消えないようならまずは健診などを利用し、小児科医などの専門家に相談してアドバイスをもらいましょう。

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まとめ

赤ちゃんはあっという間に大きくなり、その過程で成長を示す様々な表情や仕草を見せてくれます。クーイングもそのうちのひとつですが、人生でクーイングをするのはほんの一瞬のことです。クーイングを始めたら、思い出として撮影しておくのもおすすめですよ。

専門家コメント
クーイングが始まると、ママもパパも赤ちゃんとの最初のコミュニケーションが取れ嬉しいものです。
最近ではテレビをつけっぱなしにしてしまったりスマホに夢中になったりしてしまいますが、赤ちゃんがパパやママと仲良くなろう、沢山知ろうとする大事な機会なので、忙しくても手を止めて一緒にクーイングしてあげましょう。
わからなくても絵本を見せたりしてもよいでしょう。上手に言葉の確立の第一歩になります。楽しんで赤ちゃんとの会話をしてみましょう。

【監修】浅井貴子 先生

浅井 貴子(あさい たかこ)東京都在住フリーランス助産師 大学病院、未熟児センター勤務ののちフリーランスとして活躍。現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、年...

プロフィール

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