【専門家監修】いつ始まっていつ終わる?赤ちゃんの夜泣きの原因と対処法

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。
望みに望んだ赤ちゃんの誕生。赤ちゃんが生まれると夫婦だけでなく、その家族、親戚、友人、知人といろんな人が幸せな気持ちになります。特に、はじめての出産ともなると嬉しい気持ちもひとしおですよね。
さて、そこから始まる育児ですが、もちろん大変なこともあります。その中でも特に大変と思う人が多いのが「赤ちゃんの夜泣き」。
深夜、2〜3時間毎に目を覚ましては泣く赤ちゃんに、どうすることもできずに困ってしまう人も多くいます。生まれたての赤ちゃんは泣くのが仕事…とわかってはいても、日中も仕事や家事育児をがんばっているうえに夜泣きがひどいともなると、なかなか苦労しますよね。
でも安心してください。この記事では、そんな夜泣きの原因から効果的な対処法を網羅的に紹介しています。この記事を見ているあなた自身はもちろん、あなたの周りに赤ちゃんの夜泣きに困っている人がいたらぜひシェアしてあげてくださいね。
それでは早速内容に入っていきましょう。
そもそも赤ちゃんの夜泣きってどんなもの?
まだ赤ちゃんの夜泣きを体験したことがない人にとっては、夜おなかが空いたりオムツが気持ち悪いときに泣くくらいのイメージですよね。夜泣きは、赤ちゃんが突然夜中に起き激しく泣くことを指します。この「激しく」という点がポイントになるかも知れません。
生後間もない赤ちゃんは、おなかが空いたり自分にとって不快に感じることがあったり寂しい思いをしたりすると、全エネルギーを使って大泣きをします。これは本能的に赤ちゃんに備わっている能力で、生きていくために必要なことです。
大泣きは時間を問わずにあることですが、夜寝る習慣のついている大人にとってはこの赤ちゃんの夜の大泣きにより疲弊してしまう事が多くあります。そのストレスが原因で夫婦げんかになってしまうことも…そうならないためにも、正しく夜泣きについて知り、その対処法を押さえておくことが重要です。
赤ちゃんの夜泣きはいつからいつまで?
あなたは赤ちゃんの夜泣きが生後どれくらいの時期から始まってどれくらいに終わるかご存知ですか?特に、初産の場合は「どれくらい夜泣きが続くんだろう」と漠然とした不安を持っていることでしょう。
赤ちゃんによってもちろん個人差はありますが、だいたい夜泣きは「生後6ヶ月からはじまり1歳半くらいまで」続くことが多いとされます。
なので、もし今「この夜泣きいつまで続くの、とてもじゃないけど体が持たない…」と思っていたら、1歳半ほどで自然に治まるものと覚えておいてくださいね。
もちろん、どの赤ちゃんも例外なく必ず夜泣きをする、というわけでもありません。中には「ウチの子はほとんど夜泣きをしなくて」といったケースもあります。
赤ちゃんの夜泣きの理由は様々!主な原因を知ろう
さて、赤ちゃんはどんなときに夜泣きをするのでしょうか?原因を知ることで、その対策がしやすくなります。
下記に紹介する「夜泣き対処法6選」のどれを実施すればいいかも併せて掲載しておくので、夜泣きにお困りの人はぜひ参考にしてくださいね。
赤ちゃんの主な夜泣きの原因
1:空腹
「夜泣きをする赤ちゃんにはミルクを」と思う人も多いでしょう。特に乳幼児期の赤ちゃんは頻繁におっぱいを欲しがります。大人と比べものすごいスピードで成長をしている赤ちゃんには、ミルクによる栄養が必須です。
個人差もありますが、昼夜を問わず2,3時間に一度ミルクをあげないと落ち着かないケースも。
2:不安
日中はいつもそばにお母さんやお父さんがいます。でも夜は周囲も暗くなり、お母さんとお父さんも寝ています。脳が発達過程にある赤ちゃんは、昼に吸収した情報を日中に処理できず、それにより夜突然目覚めるということもあります。
また、衣類が汗で濡れている、オムツが汚れたままになっているなど、不快感によって夜泣きをすることもあります。
お母さんとお父さん交代で抱っこをする、話しかける、歌を歌ってあげるなど、赤ちゃんに触れ合ったり、室温を調整し心地よい環境を作ったりするなど、不安を取り除くように工夫してみましょう。
3:睡眠リズムが未発達
大人に比べ、赤ちゃんの体内時計は未熟。朝覚醒して夜にぐっすり眠るというサイクルができあがっていないため、夜でも突然目が覚めてしまうことがあります。このリズムを強制的に成長させることはなかなかできません。
赤ちゃんの成長を自然に待つ必要がありますが、日中と夜のリズムを作ってあげることは可能です。「朝は必ず7時に起こすようにする」「夜9時には必ず布団に寝かせる」などのリズムを作ってあげることで覚醒と睡眠のリズムが少しできやすくなります。
昼は起きている時間が、夜は寝ている時間が長くなるなどの生活リズムが整うのは、生後2~3ヶ月ごろと言われています。昼夜逆転している場合は夜泣きとは言わないので、なるべく昼間は起こしておくようにしましょう。
4:室温や湿度などの環境要因
「暑い」「寒い」「じとじとしている」など、赤ちゃんもちゃんとそういった不快感を覚えます。大人と違って自分で空調を調整したり衣類を調整したりすることができないので、不快になると夜でも泣いてしまうといったことが多くあります。
特に気温の変化が激しい夏場や冬場は、寝室の温湿度の調整を気にかけるようにしましょう。ちなみに、赤ちゃんにとって快適とされている温度は下記のとおりです。
- 室温
夏場:24〜26℃
冬場:20〜22℃ - 湿度
夏冬共通:60〜70%
「夏と冬で室温を同じにしたらいけないの?」と思う人もいるかもしれませんが、赤ちゃんの体温調節機能の成長を妨げないために、上記の室温を目安にしてください。
湿度については、特に冬場はインフルエンザなどの感染性ウイルスが流行することがあるため、高めの湿度を維持するように心がけましょう。
5:かゆみなどの皮膚トラブル
ずっと抱っこされていたり、布団で横になっていることが多い赤ちゃん。特に背中周りやおしりあたりに熱がこもり、汗をかいてかゆくなってしまうことがあります。
大人であればクリームや軟膏を塗るなどして対処することができますが、もちろん赤ちゃんはできません。
乾燥肌気味な赤ちゃんには、例えば寝る前に赤ちゃんでも使える無添加のベビークリームを塗ってあげると効果的。アトピーなどの症状が見られる場合は皮膚科の先生に相談し、最適なケア方法を指導してもらうといいでしょう。
市販されている薬の中には刺激性のものもあり、逆にかゆみをひどくしてしまうこともあります。
また、特に夏場など汗をかきやすい時期は衣類の着せかえをこまめ行うことで皮膚トラブルを未然に防ぐこともできます。衣類の素材をオーガニック系コットンや、敏感肌の赤ちゃん用衣類に変えて夜泣きが治まったというケースもあるようですよ。
部屋が乾燥するとかゆみも出やすくなってしまうため、湿度の調整も気をつけてみてくださいね。
赤ちゃんの夜泣きによく効く!夜泣き対処法6選
対処法1:ミルク・母乳をあげる
空腹による夜泣きは、夜泣きの原因の中でも上位を占めます。
母乳は母親しかあげることはできませんが、例えば予め搾乳した母乳を冷蔵庫に保存しておき、父親が授乳するときはそれを活用するなどの工夫をするといいかもしれません。昼は母乳、夜はミルクと使い分けている家庭も珍しくありません。
対処法2:抱っこをして話しかける
赤ちゃんにとって不安や寂しさは大人が感じるそれよりも大きくなります。常に誰かがそばにいる、ぬくもりを感じることができるといった状況ができれば、夜泣きの頻度も少なくなるかもしれません。
両親の声を聞かせてあげるだけでもずいぶん不安が軽減されます。最近では、ぬいぐるみ型の録音機能がついた夜泣き対策グッズなども販売されています。

対処法3:オムツ・衣類を替える
オムツが汚れたままだと、当然不快になってしまいます。夜寝る前に必ずオムツをチェックする、夜時間を決めてオムツをチェックする習慣を作るなども効果的。
意外と見落としがちなところですが、寝るときに衣類の背中部分にしわがあると、それが刺激になり夜目覚める原因になってしまうこともあります。これは衣類だけでなく敷布団も同じです。寝る前に今一度チェックするといいかもしれませんね。
対処法4:起床と睡眠のリズムを作る
赤ちゃんは体内時計が未熟。朝起こす時間、夜寝かしつける時間を統一することで赤ちゃんの体内リズムができやすくなります。
また、対処法5にも書いてある居室の環境を、起床したとき、就寝するときで一定にすることで赤ちゃんが覚醒、入眠しやすい状況を作ることができます。
対処法5:居室の環境を変える
居室の明るさや室温、湿度も赤ちゃんの快適な睡眠には重要。
- 室温
夏場:24〜26℃
冬場:20〜22℃ - 湿度
夏冬共通:60〜70%
上記を目安に環境を整えるようにしましょう。
対処法6:音楽をかける
母親の胎内の音に近い音声、赤ちゃん用のリラックス音楽などを流すことで不安が軽減され、寝付きやすくなる赤ちゃんも多くいます。
youtubeで「赤ちゃん 眠る音楽」など検索するとたくさんの音楽がヒットしますので、ぜひトライしてみてくださいね。
対処法7:べビーマッサージやベビースイミングをする
お風呂上がりにオイルやローションなどでベビーマッサージをすると、筋肉疲労が和らぎ落ち着いて寝るようになります。
生後4~6ヶ月から始めるベビースイミングも安眠に繋がります。水の音は特に寝付きが悪い赤ちゃんに効果的です。足浴をさせたり、水道の水の音を聞かせてもよいでしょう。
対処法8:夜泣き用のアロマを使う
赤ちゃんの夜泣き対策専用のアロマもあるので、そういったものを使うものおすすめ。
クラリセージやラベンダーは鎮静、安眠効果があります。肌に直接つけず、ティッシュや大人のパジャマに垂らして使用します。赤ちゃんだけでなく、大人も落ち着きますよ。
入眠時だけでなく、外出時にスリングに数滴垂らしておいたり、ディフューザーに入れたりと様々なシーンで使うとよいでしょう。
まとめ
赤ちゃんの夜泣きの時期や原因、対処法についてまとめました。
今夜泣きに困っている人も、いろんなことを試してきたはずです。上記の方法でまだ試したことがないことがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。
日本人の眠る時間は親のほうも減ってきています。夜20時になったらテレビやスマホなどを極力控える、間接照明にする、入浴をシャワーだけで済ませているなら湯船に入る習慣をつけるなど、親の行動パターンの修正も必要になります。
赤ちゃんだけ寝かせようとしないで、どうしたら「すやすや習慣」になるかママやパパの生活習慣も見直す良い機会になるとよいですね。