【専門家監修】母乳ダイエットは本当に痩せる?失敗しないコツ&注意点

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ヘルスケア

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。

「産後は母乳をあげているだけで痩せる」という言葉を聞いたことはありますか?実際に、母乳育児の経験があるお母さんを対象にしたアンケートでは、半分以上の人がダイエット効果を実感しているそうです。
しかし、同じくらい「体重は戻るけど体型は戻らなかった」という声も聞こえてくるのが実情。また、中には「産後4か月なのに、1か月検診の時と変わらない…」という人も珍しくはありません。
この差はいったい何?どうして産後は自然と痩せる人が多いの?今回は、そんな疑問のアンサーになるよう、母乳ダイエットのメカニズムやコツを分かりやすく紹介していきたいと思います!産後の体型を気にしている人はぜひ、読んでみてくださいね。

授乳していると痩せる理由

妊娠中は脂肪や水分を蓄えるホルモンが分泌されて太りやすい体質になっていましたが、産後はそのホルモンが減り、痩せやすい身体に変化します。さらに、赤ちゃんのお世話で意外と体力を使い、特別な運動をしなくてもしっかりカロリーを消費できる利点があります。
授乳期間はお母さんが食べたもので母乳が作られる、という点もポイントです。
赤ちゃんのために質の良い母乳を作ってあげたいという気持ちから、自然と健康的な食生活を心がけることができ、ダイエットにもいい影響をもたらします。乳腺炎の予防のために摂生するお母さんもいますよね。
また、母乳を作る量にもよりますが1日に約500~700kcalものエネルギーが必要になるんだとか。これは、ランニングなら約80分ものカロリーに値します。

妊娠中の脂肪は落としやすい!?

妊娠中についた脂肪は「流動性脂肪」と呼ばれる水分が多い特殊なもので、普通の脂肪より落としやすいという説もあります。確かに、普通のダイエットでも長年太っていた人よりも、短期的に体重が増えた人のほうが戻しやすい傾向はありますよね。
産後の脂肪も、もちろん放っておくと普通のセルライト主体の落ちにくい脂肪に変わっていきます。その目安は産後6か月くらいまで。できるだけ早めにスタートして、効率良く脂肪を落としたいところですね。

必ず痩せるわけではない

どんなダイエット方法にも向き不向きがあるように、母乳ダイエットも中には上手く体重が減らない人もいます。
特に、こんな人は要注意。

  • 食べてもいいと言われると安心して食べ過ぎてしまう人
  • 妊娠中の食べ癖が残っている、辞められない人
  • 妊娠2回目以上の人

しかし、急激に体重を落としすぎると母乳を作るために必要なカロリーや栄養素が不足して、出が悪くなることもあるので注意が必要です。酷いときだと、お母さん自身の体力や体調も落ちてしまい、赤ちゃんのお世話ができなくなってしまう場合もありますよ。

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母乳ダイエット成功の鍵を握る3つのコツ

産後ダイエットを成功させるためには、3つのコツがあります。
普通のダイエットと似ているところもあれば少し違うところもあるので、これから産後ダイエットをする、今やっているけど思うような成果が出ていない、という人は特によく読んでみてください。

コツその1:モチベーションを維持しよう

どんなダイエットでも、成功させるためにはモチベーションの維持が欠かせません。産後ダイエットの場合は「妊娠前の服が着たい」「元の体重に戻したい」など、具体的で現実味のある目標が立てやすいのが特徴的です。
目標が決まったら、定期的に進捗を確認することも忘れずに。体重を測るだけでなく、お腹周りなど気になる部位の計測もしてみましょう。アプリなどで数値を記録しておけば、成果が目に見えるのでモチベーションを維持しやすいですよ。

コツその2:食事の内容に気を配ろう

産後は「食事制限しなくても痩せる」と言われることもありますが、実はこれは大きな勘違い。正しくは「母乳のためにバランスの良い食事にすると痩せる」のが母乳ダイエットです。
特に気を付けたいのはこちらの3つ。

  • 脂質の多い食事を控える
  • 水分の量を増やす
  • 身体をつくる栄養素を多く摂る

脂っこい食べ物を避け、水分とタンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミン類を意識して口に入れるようにしてみましょう。母乳の質が良くなるうえに、お母さんのダイエットにもなるので一石二鳥の効果が得られます。

コツその3:適度な運動をしよう

妊娠中はどうしても筋力が落ちてしまうため、産後のダイエットには適度な運動も必要です。しかし、分娩や帝王切開で身体に大きなダメージを受けている状態でもあるので、急に激しい運動をするのはNG。
まずは産褥体操や膣トレからスタートし、慣れてきたらヨガや産後ピラティス、体幹トレーニングなど負荷が軽めのものから取り組んでみましょう。赤ちゃんを抱っこしながらウォーキングやベビーカーに乗せて軽い競歩程度の速さで歩くのも、かなりの運動量になります。最近は赤ちゃんと一緒にできるエクササイズやトレーニングもいろいろ登場しています。
自分に合ったものを見つけて、週2~4日を目安に取り組んでみましょう。

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失敗してしまう原因とは?

産後ダイエットに失敗してしまう人には、いくつかの傾向があります。お母さん本人だけの問題ではなく環境的に仕方がないケースもありますが、協力や工夫で改善できる場合も。
ダイエットは単に痩せるだけではなく、心身を整える効果も期待できるため、出来る限り協力して取り組みましょう。

基礎代謝が落ちている

妊娠中は激しいスポーツが出来なくなったり、場合によっては切迫などで安静を求められたりしますよね。すると、自然と妊娠前より全身の筋力が低下し、併せて基礎代謝も落ちることに。
基礎代謝とは、普段の生活で使われる生命活動維持のエネルギー量のことです。これが高いほど痩せやすく、また太りにくい身体になります。
このケースの改善方法は、適度な運動を継続して筋力をつけること。医師や助産師の許可が出たら、産褥体操などの軽いものからスタートしましょう。コツコツと取り組むことがカギです。

妊娠中の食生活が戻らない

妊娠期間中は、2人分の栄養が必要になるため多くのエネルギーが必要となります。特に妊娠後期は、妊娠前と比べて一日に450kcalもプラスで摂取する必要があるんだとか。コンビニのおにぎりなら、なんと約3個分ものカロリーに相当します。
対して授乳中に求められる1日の摂取カロリーは、妊娠前プラス350kcalです。100kcalだけの差ですが、1ヵ月分にすると約3,000kcalの差に。
この差に気付かず、油断して妊娠中と同じような食生活をしていると「そんなに食べていないのに痩せない…」という事態に陥りがち。
つい食べ過ぎてしまうことが多い人は、朝昼晩の3食にこだわらず、お腹がすいた時に少し軽めに食べるスタイルを心がけてみて。食事の回数は5、6回に分けたほうが、ドカ食いを防ぎやすいと言われているためです。
また、食事の内容も、脂質や糖分に偏らないように気を付けてくださいね。

疲れやストレスの蓄積

産後は慣れない赤ちゃんのお世話で生活リズムが変わり、疲れが溜まりがち。また、自分のペースで時間を使えない、ちゃんと育てられているのか分からない、といった悩みはストレスの元にもなりますよね。
疲れやストレスが溜まっているとドカ食いをしたり、代謝が悪くなったりして、ダイエットがスムーズに進みません。
赤ちゃんのお世話だけでも大変な時期ですから、お母さんひとりで頑張る必要はないですよ。

  • 自分も一緒に赤ちゃんと昼寝する
  • 家事よりも休息を優先する
  • ひとりで頑張らず、パートナーや家族の手を借りる
  • 買い物は宅配サービスなどを活用する

パートナーや家族に助けを求め、自治体や企業のサービスも活用していきましょう。

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まとめ

産後は普段よりも体重が落としやすいので、ダイエットを考えていた人にとってはチャンスタイムとも言えます。しかし、単に体重を落とすだけでは、授乳をしなくなった途端にリバウンドしてしまう場合も。しっかり食事や身体を整え、卒乳後も太らない健康的な体づくりを目指しましょう!
ただし、あくまでも妊娠出産で受けたダメージの回復が最優先です。痛みや疲れを感じたら無理せず休む選択も重要、ということをくれぐれも忘れなく。

専門家コメント
母乳ダイエットに限らず、人間は入れる量(食事、間食)と出す量(基礎代謝と運動エネルギー)とのバランスで体脂肪は増減します。体重で一喜一憂するのではなく体脂肪や筋肉量などの体組成が大事です。
授乳中は本当にお腹が空くので、菓子パンなどよりチーズやナッツ、ヨーグルト、ゆで卵、サラダチキンなどのたんぱく質メインで食べるとよいでしょう。

【監修】浅井貴子 先生

浅井 貴子(あさい たかこ)東京都在住フリーランス助産師 大学病院、未熟児センター勤務ののちフリーランスとして活躍。現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、年...

プロフィール

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