【専門家監修】妊娠中の食事のコツ!妊婦におすすめの食生活や食材は?

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。
妊娠中気になるのはやっぱり食事のこと。妊娠をきっかけにして、食生活を見直す人がほとんどです。
出産までのあいだ、赤ちゃんは母体から栄養をもらって成長し続けます。適切な栄養管理はその成長のためだけでなく、妊娠中のマイナートラブルや産前産後の体重管理にも大きく関わってくるので、健やかな食生活を身につけましょう。
食べ過ぎは禁物
妊娠すると「2人分食べなさい」と周囲に言われることがお約束ですが、無論食べ過ぎはいけません。
摂取カロリーで見ると、
- 妊娠初期…妊娠前より+50Kcal
- 妊娠中期…妊娠前より+250Kcal
- 妊娠後期…妊娠前より+500Kcal
- 授乳期…妊娠前より+450Kcal
が一般的な目安です。
妊娠初期であれば50キロカロリーしか増やす必要はありません。つわりが治まる中期頃から本格的に摂取カロリーを増やす必要があり、いちばん多く必要とする妊娠後期では500キロカロリープラスすることになります。
ごはん1杯(150g)が約250キロカロリーほどなので500キロカロリーはごはん2杯ぶんです。1食でそれだけ増やすのはもちろん大変ですが、1日のなかで分散させたり高カロリーのものを食べたりしていると思いのほか摂取カロリーを稼いでしまいます。
(参考)妊産婦のための食事バランスガイド - 厚生労働省
栄養バランスを考える
ただカロリーを摂取するだけなら高カロリー食を口にすれば比較的簡単に達成できますが、高カロリー食の場合塩分や油分が多い調理法であることが多いためおすすめできません。
1日3食必ず摂り、妊娠前より1食の量をしっかりめにすることから始めましょう。なおかつ、主食主菜副食の組み合わせが理想的です。そうして献立を組み立てることで複数の食材を取り入れることができ、栄養バランスを向上させやすくなります。
主食
ご飯、パン、麺類などの炭水化物です。太ってしまうことを気にして主食を抜く人もいますが、炭水化物は体内でブドウ糖に分解されたのちエネルギー源として筋肉や脳で使用されます。不足すると体力が衰える原因となるため必ず食べましょう。
なお、パンや麺類だと塩分を余分に摂取することに繋がるため、主食はなるべくご飯にするのがおすすめです。血糖値が上がりやすい人は、精製していないものやもち麦などの雑穀を混ぜて食べるとよいでしょう。
主菜
肉類、魚介類、卵などのたんぱく質を用いたおかずです。たんぱく質は体を作る栄養素であるうえ、赤ちゃんの細胞を作るたんぱく源となる食材には、妊婦にかかせない栄養素が豊富に含まれています。
レバーはもちろんのこと、赤身の肉や魚の血合いには鉄分が含まれており、魚に多く含まれるDHAやEPAは定期的に摂取することで、生まれてくる子供の喘息発症率の低下、早産率の低下、マタニティブルーの緩和などの効果があることがわかっています。
(参考)Fish Oil–Derived Fatty Acids in Pregnancy and Wheeze and Asthma in Offspring | NEJM、Omega‐3 fatty acid addition during pregnancy - Middleton, P - 2018 | Cochrane Library
副菜
野菜、きのこ、海藻などを使用したおかずです。カロリーを抑えつつ各種ビタミン・ミネラル類、カルシウム、鉄分、食物繊維など大切な栄養素を摂取しやすい献立に仕上げることができるので必ず取り入れましょう。
なるべく多くの品目を使ったメニューにしたり副菜を2種類以上用意したりするのが理想ではありますが、毎日毎食それをこなすのは大変です。
そこでおすすめの対策は下記の3つ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.時短レシピや作りおきレシピなどの活用
最近ではインターネットやSNSで、簡単かつ美味しく作ることができるレシピがたくさん紹介されており、日持ちするレシピに特化したサイトなども人気です。好みの料理研究家やサイトができたら、まめにチェックしてみましょう。
2.冷凍食品や冷凍野菜の活用
昔のイメージと違い、近年の冷凍食品や冷凍野菜は技術の向上により、下処理や調理のあとに急速冷凍することで保存料を抑えて栄養や品質を保ったまま保存されています。冷凍庫に常備しておくことで、手間もかからず簡単に品目を増やすことができますよ。
3.具だくさんの汁物を取り入れる
味噌汁やスープなどの汁物を具だくさんにすれば、多くの野菜を食べることができ調理も簡単です。汁物の塩分が気になるところですが、だしの旨味をしっかり効かせて、香辛料や薬味、酸味など塩以外を上手に使うことで美味しく仕上がります。
おやつを食べるなら
せっかくおやつを食べるなら、簡単にお菓子を口にする前に栄養を考えてみましょう。さらにプラスしたい栄養が含まれているものを選ぶのがおすすめです。
果物類
比較的カロリーが低く、なによりビタミン・ミネラル類や食物繊維が豊富なもの、カリウムが含まれているものも多いのでいいことづくしです。ヨーグルトと一緒に食べるのも、美味しくカルシウムもプラスされるので良いですね。
ナッツ類
ビタミンが豊富に含まれており整腸作用があるナッツ類もおすすめ。食べごたえがあるのも嬉しいポイントです。ただし塩をまぶしていない素焼きナッツを選ぶことと、カロリーが高めなので食べ過ぎないようにすることに注意してください。
小魚類
煮干しやアーモンド小魚をおやつにすることで、カルシウムはもちろんのことたんぱく質、鉄、DHA、EPAを補給することができます。煮干しは塩分が多いものもあるので、無塩タイプや減塩タイプのものがおすすめです。
寒天ゼリー・ところてん
寒天やところてんは海藻からできているので、食物繊維が豊富で便秘に効果的。とても低カロリーなので、食べ過ぎが気になる人にはうってつけです。
サプリメントを上手に活用する
あれこれ栄養を摂取しなくてはいけないのは大変だから、サプリメントを飲めば手っ取り早い!と思ってしまいそうですが、栄養はバランスの良い食事から摂るのが理想です。すぐにサプリメントで補おうとせず、3食しっかり食事をすることで自律神経が整い消化器官が働くうえ、自然に各種栄養をまんべんなく摂ることができます。
ですが鉄分や葉酸など、気をつけていても不足しがちな栄養素は積極的にサプリメントで補うことを推奨されることがあります。
特に食事で安定して補うのが難しいとされる葉酸は、サプリメントでの摂取を推奨されることが多い栄養素です。妊娠中はもちろんのこと、授乳期も非妊娠時より付加して摂る必要があります。


最近では、葉酸とともに他の不足しがちな栄養素も摂ることができる葉酸サプリも多く販売されています。例えばこちらの製品。
葉酸以外の不足しがちな栄養素もアンケートをもとに選定し配合しているだけでなく、乳酸菌や美容成分といった女性に嬉しい成分も含まれています。そのため、妊活中や妊娠中以外にも飲み続けている人も多いそう。
飲みやすさも考慮されており、粒の大きさや匂いにまでこだわって作られています。こうしたサプリメントを上手に取り入れるのもおすすめです。
まとめ
自分のためだけでなくお腹の赤ちゃんのためにどんな食生活が望ましいのか悩んでしまう人も多いはず。まずは偏りなくいろいろな品目を取り入れて3食しっかり食べることが大切です。
もちろん注意が必要な食品もあります。

進んで摂るべき食品・避けたほうが良い食品を区別して、妊娠中の食生活を豊かなものにしましょう。
勤労妊婦さんも多くなり、妊娠性糖尿病も増えてきています。ランチも手っ取り早く終わらせず、定食やバランスの取れたお弁当などにしてゆっくり食べる習慣をつけましょう。
母親学級などでも栄養士さんからアドバイスをもらえたりします。一度食事記録を見てもらってもよいですね。