【専門家監修】これ、もしかしてマタニティブルー?症状と対処法をチェック

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ヘルスケア

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。

わけもなく落ち込んで憂鬱になったり、普段なら気にならないようなことで傷ついたり…産前産後にそうした精神状態になったとき、それはいわゆる『マタニティブルー』かも知れません。
精神的不調とは無縁だと思っている人もいるかも知れませんが、マタニティブルーは誰がなってもおかしくないもの。程度の差はあれども多くの人が経験しています。
思い当たる節のある人もそうでない人も、マタニティブルーを正しく知っておきましょう。

マタニティブルーの症状

マタニティブルーによく見られる代表的な症状としては、

  • 特に理由もなく気分が落ち込む、滅入る
  • 漠然とした不安感に見舞われる
  • 急に涙が出たり泣き出したりしてしまう
  • ささいなことでイライラしたり怒ったりしてしまう
  • 倦怠感があり、すぐに疲れてしまう
  • なかなか寝付けなくなり、眠りも浅くなった
  • 出産や育児に対する自信がまったく持てず不安でたまらない
  • 食欲が出ない

などがあります。人によって差異があるため当てはまる症状や状態はそれぞれですが、こうした症状が複数表れることが大半です。 

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産前うつ・産後うつとの違い

マタニティブルーとうつとの違いは、症状が一過性であるかどうかという点です。
通常マタニティブルーは一過性のものとされ、3週間以内には治まるとされます。しかしそれ以上続くようであればうつと診断され、産前であれば産前うつ、産後であれば産後うつという名前がつきます。
マタニティブルーが重かったり、以前に心の病気を経験していたりするとそのままうつへ移行してしまうこともあるため、「きっと一過性のものだろう」と軽く見ずに注意することが必要です。 

マタニティブルーの原因

ホルモンバランスの変化

いちばんの原因はホルモンバランスの急激な変化です。
妊娠前の女性の体は通常一定の周期で月経と排卵を繰り返していますが、分泌される女性ホルモンのバランスによりそのリズムを保っています。妊娠することで多量の女性ホルモンが胎盤で作られはじめるようになり、さらに出産時にその胎盤が排出されるなど、妊娠から出産を経て月経が再開するまでのあいだ、絶えずホルモンバランスは大きく変化し続けます。ホルモンバランスの急激な変化は、体調だけでなく心にも大きな影響を及ぼします。

ホルモンバランス以外の要素にも注意

ホルモンバランスの変化だけでなく、産前であれば身体の変化への戸惑いから来るストレスや出産の恐怖や不安やプレッシャー、産後であれば出産による疲労や慢性的な睡眠不足と体力の低下、環境の変化によるストレスなどの要素が絡み合い、マタニティブルーに繋がりやすくなります。 引っ越しなどの環境が変わるライフイベントには要注意です。

マタニティブルーになりやすいタイプ

ホルモンバランスの変化が大きな原因ですが、それに対する感受性は個人差があります。そのため妊娠前にPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の症状に悩んでいたタイプの人は、マタニティブルーになりやすいと考えられています。
また、責任感が強い、真面目、1人で抱え込んでしまいやすいなどの性格の人もなりやすいと言われています。

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マタニティブルーはいつからいつまでなりやすい?

産前は妊娠初期から妊娠中期までのあいだになる人が多いようです。つわりなど妊娠によるホルモンバランスの変化が著しい時期に、生活スタイルへの影響や出産への不安などのストレスが重なることが要因と考えられます。
産後は出産直後の数日間がマタニティブルーにとても陥りやすい期間だと言われています。前述したように、胎盤が排出されることでそこで作られていた女性ホルモンの供給がストップしてしまいどうしても大きな影響を受けてしまううえに、育児により生活パターンががらりと変わるためです。

いつなってもおかしくない

上記の通りマタニティブルーに特になりやすい時期というのはありますが、それ以外の期間にマタニティブルーに陥ることもじゅうぶんに考えられます。妊娠から産後月経が再開するまでのあいだは特殊なホルモンバランスの状態にあるため、いつマタニティブルーなってもおかしくないと思っておいたほうが良いでしょう。

マタニティブルーの予防・対処法

ホルモンバランスの変動を防ぐことはできませんが、気分があまりにも落ち込まないように予防や対処をすることはできます。

ホルモンバランスのせいであることを理解する

なぜそうした症状が出るのか知らないままいざマタニティブルーになってしまったとき、自分の心の変化に戸惑ったり驚いたりしてさらなるネガティブ思考に陥ってしまいかねません。ホルモンバランスから来るものであることを理解しておくことで、自分の性格や考えに問題があるのではなく、体の仕組みのひとつとして仕方がないことなのだと割り切ることができます。

軽く運動をする

体調が悪い育児に追われている時期でなければ、軽くで良いので体を動かすのも効果的です。近所を散歩したり、ストレッチやヨガなどをすきま時間にしたりするのがおすすめ。少し体を動かすだけでだいぶスッキリします。

ヨガは無理なくできる動きであるとともに、精神面への効果が大きいとされているため特におすすめ。
また、マタニティスイミングも自らα波が出やすく落ち着くと言われています。

自分の体に合うものをチョイスしましょう。

話し相手を作っておく

パートナーや家族だけでなく、友人やママ友などとにかく気軽に近況を話せる人を作っておくと心強い存在になります。そのときの気持ちや愚痴を誰かに聞いてもらうだけでかなり気分が晴れますよ。
見知った人にそうした話をすることに抵抗があるようなら、SNSや情報交換サイトで同じような悩みを持った人とやり取りするのも良いですが、あまりのめり込まないよう適切な距離を持って付き合うようにしましょう。

つらい気持ちをアウトプットする

ただのマタニティブルーだから、とひたすら我慢をせず、ガス抜きをするような気持ちで発散しましょう。泣きたくなったら泣いてみる、紙につらい気持ちを書き出してみるなど、抱えている感情をなにかしらの形で表してみると落ち着きます。
身近なパートナーだけでなく、きょうだいや子育ての先輩などに相談するのも良いでしょう。

家事をサボる

つわりや育児で家事に手が回らないときは無理にこなそうとせず、サボることもときには大切です。
パートナーに任せるのも良いですし、そうでなくても散らかった部屋を片付けるのを諦めてみる、食事は冷食を活用したりなにか買ってきてもらったり、とにかく手を抜いてみることです。それに対して罪悪感を覚える必要はなく、マタニティブルーへの対処法であると開き直るようにしましょう。

保健師や家庭支援センターに相談する

身内や友人よりも相談しやすいと感じる人も少なくありませんし、なにより専門家なので遠慮せず相談してみましょう。妊婦健診の際にも助産師さんに話をする機会があるので、気軽に話をしてみましょう。

パートナー・家族の理解が大切

紹介したように、予防や対処としてはいずれにせよ溜め込まず、気分転換を図る、人に話す、休息を取るなどの行動が有効ですが、自分自身で対策するだけではなくパートナーや家族の理解が大切です。
核家族化が進み「ワンオペ育児」という言葉が浸透するほどには育児が困難な昨今ですが、パートナーや家族が出産をサポートし、育児をともに行う意思を示して行動し、孤独感を取り除いて気持ちを分かち合うことがまず重要になってきます。
マタニティブルーが決して甘えではないこと、頑張りでどうにかなるものではないことを本人だけでなく周囲もきちんと理解することがマタニティブルーを乗り越えるひとつの鍵になります。

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まとめ

マタニティブルーは誰もがかかりやすく、決して軽視できないものです。長引くことのないよう無理をせずケアをしましょう。
最近では父親がかかるパタニティブルーも注目されています。

マタニティブルー、パタニティブルーのいずれもパートナー同士での理解と助け合いが重要です。出産や育児を協力し合って乗り越えるのと同じように、ブルーな時期を乗り越えましょう。

専門家コメント
最近の社会はストレスが多く、妊娠前にメンタルクリニックに通院既往がある人も少なくありません。パニック障害やうつ病などの既往がある人は要注意ですが、自分で判断しないようにしましょう。
自治体でも母子手帳発行時に「ゆりかご事業」という専門職と面談する機会もありますし、産後の「赤ちゃん訪問事業」の時にもママのメンタルヘルスをチェックする指標などを取り入れています。
相談していいんだという気持ちを常に持っていてください。SOSを出す事は決して恥ずかしい事ではありませんから。

【監修】浅井貴子 先生

浅井 貴子(あさい たかこ)東京都在住フリーランス助産師 大学病院、未熟児センター勤務ののちフリーランスとして活躍。現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、年...

プロフィール

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