新制度、知っていましたか?妊娠したら国民年金の免除申請をしよう

妊娠から出産を経て育児に携わるあいだに、利用できる制度やもらえるお金は把握しておきたいもの。
2019年4月から、産前産後期間の国民年金保険料の免除を受けることができる新しい制度が導入されました。大々的に告知されているわけではないため、せっかく該当しているのに知らない人もまだまだいるはずです。
どんな制度?
国民年金第1号被保険者が出産する際、その前後の一定期間の国民年金保険料が免除されます。
これまでは、厚生年金加入者は産休育休に伴い厚生年金保険料が免除される制度を利用することができたものの、国民年金加入者が利用できる類似の制度はありませんでした。
そこで、次世代育成支援の観点から「国民年金加入者全体で子育てを支援する」との考え方に基づいて、国民年金保険料を月100円値上げすることで新しく実現した制度です。
免除された分は全額納付されたものとして扱われるため将来の受給額には影響しません。
対象となる人は?
国民年金第1号被保険者のうち、2019年2月1日以降に出産日を迎える人が対象です。ただし、海外に在住しているなどにより国民年金に任意加入している人は対象外です。
※妊娠とは85日(4ヶ月)以上での出産を指し、早産、死産、流産、人工妊娠中前を含みます。
免除になる期間は?
単胎妊娠の場合
出産(予定)日が属する月の前月から4ヶ月間が対象です。例えば、8月に出産する予定・または出産した場合であれば、7月から10月の4ヶ月分、2019年度の国民年金保険料で計算すると合計65,410円が免除されます。
多胎妊娠の場合
双子以上の多胎妊娠の場合は単胎妊娠の場合より対象期間が長くなり、出産(予定)日が属する月の3ヶ月前からの6ヶ月分が対象で、合計98,460円が免除されます。
ただしこの4月に施行された制度なので、2月1日以降の出産が対象ですが免除されるのは施行後である4月分以降です。
例えば2月に出産した場合は4月分のみが、3月に出産した場合は4月分と5月分が免除されます。
いつ申請したらいい?
出産予定日の6ヶ月前から申請可能で、申請期限は設けられていないので産後に申請しても問題ありません。そのため納付書に記載された納付期限を過ぎてから申請しても免除の対象となります。1~2ヶ月ほどで日本年金機構から決定通知が送付されます。
出産前に予定日で申請したのち、実際は違う月に出産した場合(例:予定日9月3日、実際の出生日8月31日など)、規定の月数分が免除されることに変わりはないのでとくに変更の届出の必要はありません。
ただし、出生前に届け出たのちに多胎妊娠であることがわかった場合など、免除期間が増えることが判明した場合には必ず変更手続きをしましょう。
どこで申請できる?
住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口で受け付けています。申請用紙は窓口に用意されていますが、下記でもダウンロード可能です。
国民年金保険料の産前産後期間の免除制度|日本年金機構
申請に必要なものは?
年金手帳もしくはマイナンバーのわかるもの、身分証明書、出産前であれば母子健康手帳などを持参する必要があります。出産後に申請する場合、出生届が出されていれば住民登録で確認できるためとくに必要な書類はありませんが、いずれの場合も念のため電話などで必要なものを聞いておきましょう。
出生届をほかの市町村に出した場合や母子が別世帯となる場合、死産や流産の場合は、それぞれ別途証明書などの書類が必要になるので注意が必要です。
都合により同一世帯者以外の人に手続きを依頼する場合や郵送で申請したい場合なども、問い合わせて必要書類と手順を確認しましょう。
もともと免除・猶予を受けている場合
この産前産後期間免除の制度は全額納付されたものとして扱われ、年金受給額に反映されるため通常の法定免除や申請免除、納付猶予などより有利な条件の制度です。もし免除や猶予を届け出ていてこの制度に該当する期間がある場合は、届け出ることで優先的に適用されるので忘れずに申請しましょう。
産前産後免除期間が終了したあとも以前から受けていた免除の再開を希望する場合は、改めて当該年度分の申請や届出をする必要はありません。
免除期間中の付加保険料・国民年金基金
国民年金保険料本体のみが免除対象となるため、付加保険料の支払いは行うことができます。免除申請とは異なり事前に届け出たり遡って納付したりすることはできないため、納付を希望する場合は免除開始月に納付の申出をし、免除終了月に辞退を申し出る必要があるため注意してください。
国民年金基金に加入している人は、付加保険料の納付は行うことはできません。
前納している場合
割引されることもあり、前納制度を利用している人も少なくないと思います。その場合は申請することで還付されます。ですがもし2年以内に未納分があれば、そちらに充当されます。
付加保険料は免除対象ではないため還付されません。
注意点
この制度で注意が必要なのは、自分から申請しない限り免除を受けることはできないという点です。出産に伴い自動で適用されるといったことはないので、忘れずに申請しましょう。幸い申請期限は存在しないので、忘れていた人や知らなかった人も問題なくあとから届け出ることができます。
まとめ
なにかと物入りな産前産後の時期に国民年金を払わなくて済むのはかなり助かりますよね。ただの免除ではなく納付したものとして扱われ、受給額に響かないのも嬉しい限りです。該当している人は必ずこの制度を利用しましょう。