授乳のマナーとは?公共の場での授乳についての傾向と対策

小さな赤ちゃんを抱えた状態でも、ときには遠出しなくてはいけないときもあるし、友人やママ友ともお茶や食事もしたいですよね。

上記の記事でも触れたように、赤ちゃんはお腹が空くタイミングをこちらの都合には合わせてはくれません。そうは言っても外出をしないわけにもいかず、授乳のタイミングを調整したり授乳室の場所を確認しておいたりはするものの、なかなかうまくいかないもの。
赤ちゃんのためならどこででもすぐ授乳する?授乳マナーって?
よく話題になる公共の場での授乳問題。考えれば考えるほどどうしていいかわからなくなってしまいますが、それぞれの考え方や状況によって変わることなので正解と言える線引きをすることは実に難しいことです。
参考として、よく聞かれる意見や議論にのぼりやすい場所での考えられる対応策などを見てみましょう。正解がないことでも、対策を自分なりに考えておくことはきっと役に立つはず。
胸が見えている状態はさすがにちょっと…
ネットやSNSでもたびたび議論になる、公共の場で授乳する場合のボーダーライン。
実際に育児を経験しているかどうかでも意見がわかれやすいテーマではありますが、まず立場や年齢性別問わずNG意見として多いのは「胸が見える状態での授乳は公共の場では避けるべき」というものです。
授乳のためとはいえ、普段自分も他人も隠している部分があらわになっているのは異性どころか同性でも目のやり場に困るもの。授乳そのものではなく、胸を公衆の面前で出すべきではない、という考えから来るものなのでこれに関しては納得する人も多いでしょう。
授乳ケープを使ったときのボーダーライン
では授乳ケープなどで隠していればOKか?という話になってきます。この辺りからボーダーラインが人によって変わってくる傾向にあるようです。
育児経験者側を見てみても、「隠していればどこでも授乳できる派」「隠していても場所は選びたい派」に二分されます。
そこからさらに突き詰めると、「授乳そのものに馴染みのない人たちの目線を気にするかしないか」というポイントが浮かび上がってきます。
やましいことをしているわけではありませんから、ケープなどで見えなくしていれば問題ないという考えは正しいと言えます。少なくとも家族や友人など気心の知れている人しかいない空間でケープを用いて授乳することを咎める人はほぼいないでしょう。
ですが、不特定多数の人が存在する場所であれば話は変わってきます。残念なことではありますが、世の中には温かく授乳姿を受け入れてくれる人ばかりではありません。
見えていなくても授乳する行動そのものに馴染みがない人のなかには、その見慣れない光景を気まずく感じたり物珍しそうに見たりしてくる人もいるでしょう。それは決して男性だけではなく、授乳や育児をよく知らない女性だったりもするのです。
「隠していても場所は選びたい派」のかたはそうした人たちの存在を気にした結果そうなったと考えられます。
それぞれの立場から落としどころを考える
授乳姿を快く思わない一部の人たちのそうした態度や行動もあり議論になってしまうわけですが、そもそも授乳は赤ちゃんの食事ですから、もちろん恥ずかしいことでもやましいことでもありません。
授乳に馴染みのない人たちと折り合いをつけて授乳をこなすにはどうしたら良いのでしょうか?
結論から言うと、やはり万人が納得できる方法というものはありません。
すぐにできて効果が見込める方法としては、「周囲に配慮している」という姿勢を示すことでしょう。
ケープなどを着用した上で、空間の隅に身を寄せる、壁側に向く…などの姿勢を取ることで人目を気にしているという雰囲気を出せますから、周囲からの理解も得られやすくなります。
これは配慮を抜きにしても、一部のあらぬ想像をするタイプの男性の目から自衛するという観点から見ても有効です。出産後、我が子につきっきりでいると女性としてより母親としての意識が強くなりがちですが、防犯のためにも今一度自身の性別を意識するとともに、世の中には色んな人がいることを念頭に置いておきましょう。
議論にのぼりやすい場所での授乳対策を考えておこう
公共の場所での授乳が議論にのぼるとき、その舞台になりやすい場所と言えば公共交通機関と飲食店。いずれも特殊な環境でもなんでもなく、誰しもが利用するものです。
そこで授乳することをあらかじめ想定しておくことで、実際そうなったときの戸惑いや不安を軽減できるでしょう。
想定その1:公共交通機関
短時間の移動なら授乳時間を調整するなどして対応する手立ても有効ですが、遠出ともなると時間もかかることが多いため、授乳のタイミングは調整しようがありません。
飛行機や新幹線ともなると限られた空間のなかで対処せねばならず、赤ちゃんをずっと泣かせておくわけにもいかないため不慣れな人は困り果ててしまいます。
飛行機の場合
ベビールームはありませんがオムツ替台付きの化粧室が備えられている機体もあるので事前に調べておくと良いでしょう。
例えば、ANA国内線では妊娠中・育児中の人にはうれしいサポート体制が整っています。
参考:小さなお子様連れのお客様[国内線]|Service & Info[国内線]|ANA
そうした機体を選べなかった場合や悪天候などによりシートベルト着用サインがなかなか消えない場合、なるべく奥側の席に座って同行者の方に壁になってもらえる配置にした上で授乳ケープを使うと安心です。
また、混んでいない便であれば授乳時に人けの少ない席を案内してもらえる場合もあるので申し出てみましょう。
新幹線の場合
意外と知られていませんが、国内の新幹線には「多目的室」という個室が必ず備えられています。
引用元:新幹線の多目的室を利用するには|東海道新幹線の完全ガイド
病人や怪我人、体の不自由な方などが移動するために使用されることが多い設備ですが、乗車中に体調が悪くなったときはもちろん、授乳時や赤ちゃんが泣き止まないときなども乗務員に申し出れば鍵を開けてもらえ使用することができます。
予約時に多目的室の備えられている車両を確認して席を取るようにするのも良いでしょう。実際、多目的室のある車両は子連れでの乗車が多い傾向があるので、少し気が楽になるかも知れませんね。
ただし多目的室は予約乗車により使用できない場合もありますので、飛行機と同じように奥側の席を取っておくと安心でしょう。また、乗務員室を案内してもらえる場合もあるので遠慮せず訊いてみましょう。
想定その2:飲食店
授乳室のある店や個室ならともかく、そうではないところで飲食する機会も必ずと言っていいほどあるのではないでしょうか。
よく聞かれる意見として、ドレスコードが指定されるような店ではまず歓迎されないと思っておいたほうがいいでしょう。料理だけでなく雰囲気やシチュエーションも含めて楽しむために安くないお金を払って来店する場合が多いため、快く思わない人が多いようです。
なによりお母さん自身もそうした雰囲気をじゅうぶんに楽しめないことになってしまうので、手がかかる乳幼児のいるあいだは我慢して、のちのちの楽しみに取っておくのが良いかも知れません。
と言ってもそうした高級店に乳幼児を育児しているあいだ行く機会はそうないでしょう。実際に行く機会が多いのは、友人やママ友と会うために選ばれがちなカフェやレストランだと思います。
ママ友の集まりに使ってもらいやすいよう、授乳やオムツ替え用のスペースを用意しているカフェやレストランも近年増えていますから、そうしたところを予めいくつかピックアップしておくと便利でしょう。
ファミレスやそのほかの大衆店の場合、オムツ替台はあっても授乳スペースまでは用意されていないところが多いです。できることとしては、あらかじめ授乳を済ませておく、念のため隅のほうなど目立ちにくい席に案内してもらい、もし授乳することになったら壁側を向いて授乳ケープを使用する、などの対策を取るとかなり違うと思います。
まとめ
日本だけではなく海外でも議論の種になることがある公共の場での授乳。赤ちゃんに栄養を与えることは最優先されるべきことのはずなのに、必要以上に悩んだりプレッシャーを感じたりしたくはないですよね。
授乳する側も居合わせた側も、お互いの気持ちに歩み寄って理解し合えるよう努めることが「社会全体での子育て」への第一步かも知れません。