【専門家監修】産後の生理はいつから?再開時期の調査結果や入浴方法

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。
出産してからはしばらく再開しない生理。妊娠によるマイナートラブルには苦しむものの、生理がない生活を快適に感じていた人も多いのではないでしょうか。
しかし、一定期間経過すると再び生理はスタートしてします。また妊娠したいという人にとっても、そうではない人にとっても生理の再開時期は気になるもの。
そこで今回は、産後の生理について徹底解説します。本記事では再開時期や授乳との関係性、再開した場合の子どもとの入浴についてなどのことがわかるので、ぜひ読み進めてくださいね。
産後の生理はいつから?
最初に、気になる産後の生理の再開時期について、おむつメーカーの調査をもとに説明します。
産後の生理はいつ頃始まる?みんなのケースは?
産後の生理の再開時期は人によって異なります。母乳育児をしているかどうかによっても異なるものの、こちらが平均的な生理再開時期です。
- 母乳育児ではない場合……産後2か月前後
- 母乳を飲ませている場合……産後3か月〜1年前後
これだけではピンと来ないと思うので、2つのおむつメーカーが実施したアンケート結果をご紹介します。
ユニ・チャーム調べ(2019年4月10日〜2019年5月8日、回答者708名)
- 生後3か月まで……32%
- 生後半年まで……19%
- 生後9か月まで……9%
- 生後1年まで……8%
- 生後1年3か月まで……5%
- 生後1年半まで……4%
- 生後1年9か月まで……1%
- 生後2年まで……1%
- まだきていない……19%
- その他……2%
(参考)ユニ・チャーム HP
GOON調べ(2016年2月23日〜2016年3月7日、回答者243名)
- 生後1か月未満……1%
- 生後1か月から3か月未満……16%
- 生後3か月から6か月未満……18%
- 生後6か月から9か月未満……9%
- 生後9か月から1年未満……8%
- 生後1年から1年半未満……13%
- まだきていない……30%
- その他……2%
(参考)GOON HP
両社の調査結果は表記方法が異なり、結果にもばらつきがあります。しかし、どちらも生後半年までに再開するというケースが多いようです。
完全母乳で育てている場合は1年以上生理がこないこともあるとのこと。母乳育児で育てている人は、生理の再開が遅くなることが多いことを理解しておきましょう。
母乳と生理の関係とは
一般的には、赤ちゃんに母乳を飲ませている場合は生理の再開が遅くなる傾向があります。なぜならば、母乳を分泌するためのプロラクチンというホルモンは、排卵を行わないようにする働きがあるからです。
だからといって授乳期間中はずっと排卵が抑制されるわけでなく、授乳回数や量等によって個人差があるので、生理がなくても妊娠することがあります。
産後に整理が再開しないときに想定できる病気は?受診の目安は?
産後の生理は、多くの方が6か月以内、完全母乳育児の場合は1年間再開しないこともある、ということがわかりました。
では、産後の生理がなかなか再開しないときはどうすればよいのでしょうか。生理が再開しない場合に考えられる病気と受診時期の目安について確認していきましょう。
産後の生理が再開しないときに想定できる病気や影響
まずは、産後の生理が再開しないときに考えられる病気や状態、影響について確認しておきましょう。
病気の可能性
産後の生理が再開しない理由の多くが、授乳やホルモンバランスの変化によるものですが、中には以下の病気が隠れていることもあります。
- 子宮筋腫
- 甲状腺の病気
妊娠の可能性
産後の生理が再開しない原因の1つに「妊娠」があります。
生理が再開する前に、必ず排卵が起きます。その1度目の排卵でタイミングよく妊娠していれば、生理がこないままに妊娠してしまうことがあるのです。
つわりのような症状がある場合は、最後の性交後、3週間程度で妊娠検査薬を試してみましょう。
次の子どもの妊娠が遅くなってしまう
妊娠していないのに生理が再開しないと、「再び妊娠できない」というデメリットがあります。生理と排卵はセットなので、生理がないということは排卵がないということ。つまり、次の妊娠を望めないということです。
産後の生理が再開しないときの受診時期の目安は?
産後の生理が再開しない場合、以下に該当するときは産婦人科を受診してみるとよいでしょう。
- 産後1年半経過しても生理が再開しない場合
- 完全に断乳してから3か月以上生理が再開しない場合
「産後の生理が再開しない」と産婦人科を受診すると病気の有無等を確認した上で対処法をアドバイスしてもらえます。授乳中の場合は、授乳頻度を減らすようにと指示されることもあります。
産後の生理、再開の兆候は?
妊娠してから生理が無い状態が続いていると当然ですが、生理周期もわからなくなります。突然生理が来たら、下着や洋服を汚してしまうのではないかと心配になるもの。産後の生理再開の兆候がわかれば備えられますよね。
産後の生理が再開する代表的な兆候がこちら。ほとんど、妊娠前と変わりません。
- 腰痛
- 頭痛
- 下腹部痛
- 異様な眠気
- いらつきや落ち込みなど精神面の不調
- 肌質の低下
- 胸の張り
- 便秘
- 食欲増進・不振
妊娠前の生理の前兆を思い出してもらえればわかりやすいと思います。
産後独特なものといえば、「赤ちゃんがおっぱいを嫌がる」「あまり飲まなくなる」などです。これは、生理中によるホルモンバランスの変化により母乳の味や出方に変化があるからと考えられています。ただし、全員に共通するわけではなく、変化がほとんどないため気付かないこともあります。
生理が再開したら子どもとの入浴はどうする?
生理が再開したときに困るのが、子どもとのお風呂です。最後は、生理再開後の子どもとのお風呂の対処法を解説します。
- 浴槽や洗い場で出血を子どもに見られてしまう
- 出血によって汚れたタオルを子どもに見られてしまう
- 出血量が多いときは貧血気味で子どもの入浴が難しい
このようなトラブルが想定されるので、対策が必要です。
対策1:パートナーや家族に入れてもらう
生理2日目で出血量が多い場合や、貧血で入浴が難しい場合は子どもの入浴を他の家族に変わってもらいましょう。生理中は精神的にも肉体的にも大変なので、無理をせず家族にお願いしましょう。
対策2:お風呂をお休みする
同居の家族がいない、いても頼れないという場合は、お風呂に入らないというのも1つの手段です。汗をかく季節なら母親は服を着て子どもはシャワーだけにしてもいいでしょう。
処分していなければ、沐浴時代のベビーバスに入れてもいいですね。2才までなら、なんとかベビーバスに体は入ります。
対策3:タンポンや生理カップを活用する
お風呂や脱衣場での出血が心配という人は、タンポンや生理カップなどの血液が漏れにくい生理用品の利用を検討してもよいでしょう。出血量が多い日でも入浴前にタンポンや生理カップを使えば、経血が漏れる心配はほとんどありません。
まとめ
産後の生理再開の目安は生後2か月から1年程度。一般的には、母乳で育てている場合は再開が遅くなる傾向にあります。卒乳してから3か月が経過した場合や、授乳中でも1年半以上生理が再開しない場合は、産婦人科の受診を検討しましょう。
思わぬ病気が隠れていることや、1度も生理がくることなく妊娠している可能性もゼロではありません。
授乳を継続しながらだと、生理中は母乳の分泌が落ちる人もいますが、温かい水分をいつも以上に摂取する、身体を休め気味にするなど対応してくださると、母乳の分泌も維持できます。