【専門家監修】妊娠線はいつからできる?できやすい人は?3つの予防対策

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専門家監修記事

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。

妊娠してお腹が大きくなると『妊娠線』ができることはよく知られていますが、できることならば妊娠線を作ることなく出産を終えたいと思っている人は少なくないと思います。
そもそも妊娠線は何故できるの?できない人はなにが違うの?予防や対策は?
このページで、妊娠線にまつわるそれらの疑問を解消しましょう。

おすすめの妊娠線予防クリームや塗り方については下記記事で詳しく解説しています。

妊娠線とは?

正式には「線状皮膚萎縮症(せんじょうひふいしゅくしょう)」「皮膚伸展線条(ひふしんてんせんじょう)」と言い、皮膚にひび割れのような線が発生することを言います。ストレッチマークとも言い、肉割れと呼ばれることも多いです。乳房周辺にできるものは授乳線と呼ばれることも。
表皮が急速に伸び、真皮や弾性繊維などの皮下組織がその伸びについていけず断裂することで発生する赤紫色をした線で、時間が経つにつれだんだんと白っぽく変化します。太さや本数は人によって異なり、稲妻のような形状だったりすいかの縞模様のようだったり、太いものが少しだけできたという人もいれば細いものがたくさんできたという人もいます。

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妊娠線の原因

急激な体型の変化

妊娠や急激な体重増加などに伴い体型が急速に変化することで発生します。妊娠線という名前がついているものの急激な体型の変化があれば誰にでも発生しうるため、成長期の子どもや男性にも見られる現象です。
妊婦の場合はお腹もちろんのこと、体と胎児を守るために脂肪がつきやすい状態にあるため太ももや二の腕やお尻、授乳のために急速にサイズアップする乳房周辺にもできます。

ステロイドホルモンの影響

さらに、妊娠中はグルココルチコイドという副腎皮質ホルモンの分泌量が増えます。このホルモンが増えると、真皮のターンオーバーが抑制されコラーゲンの生成も進まず弾力を失ってしまい、通常よりさらに断裂を引き起こしやすい状態になっています。そこに急激な体型の変化が加わるため、実に7割の人が妊娠中に妊娠線が発生するとも言われています。

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妊娠線ができやすい人って?

妊娠により誰しもが妊娠線のできやすい状態ではあるものの、そのなかでもさらにできやすいタイプの人がいます。

多胎妊娠

双子以上を妊娠している場合は単胎妊娠よりお腹が大きくなりやすく、元の体型より大きくお腹の表面積が引き伸ばされるため、妊娠線ができやすくなります。

経産婦

意外かも知れませんが、初産より2人目のほうが妊娠線が出やすい傾向にあります。一度出産を経験していることで子宮も皮膚も伸びが良くなっており、再び妊娠すると初産に比べてお腹が大きくなるスピードも速いため妊娠線ができやすいのです。

皮下脂肪が多い

皮下脂肪は横方向への弾力性に乏しく皮膚の伸びについていけないため、もともと皮下脂肪が多い場合は妊娠線ができやすいと考えられています。

高齢出産

加齢により皮膚の弾力性が落ちているため真皮が表皮の伸びについていけないことが多く、妊娠線が発生しやすいと言われています。

小柄

人それぞれ体格は違うのは当然ですが、生まれてくる赤ちゃんの大きさは同じです。小柄な人はもとの皮膚面積から大きく引き伸ばされることになるうえ、骨盤が小さく胎児が成長するにつれてお腹が前のほうへ出るように膨らむため皮膚が伸びるスピードも早い傾向にあります。

痩せ型

小柄な人と同じように、皮膚の表面積が小さいため赤ちゃんが成長するにつれどんどん皮膚が大きく引き伸ばされることになります。

妊娠線のある家族がいる

生まれ持った肌質や体質に拠るところも大きいとされているので、もし近い血縁者に妊娠線が出ている場合は自分も同じように出やすい体質だと思っておいたほうが良いでしょう。

乾燥肌

乾燥している肌は角質や真皮層の水分量が減っているので、妊娠線ができやすいと言えます。外界からの刺激も受けやすいため痒みも増えてきます。
アトピー肌体質の人も同様に、皮膚が硬く弾力に乏しいので妊娠線ができやすいでしょう。

妊娠線はいつからできる?

妊娠5ヶ月以降のお腹が本格的に大きくなる時期にできやすいとされます。お腹の大きくなるスピードは個人差がありますが、食べづわりなどで体重の増加が大きい場合などは早めに妊娠線が出やすくなります。
また、お腹が大きくなるスピードが落ち着いてきても油断は禁物です。皮膚はずっと張り詰めた状態にあるので、妊娠線はずっとできやすい状態が続いています。赤ちゃんが移動するのにつられて分娩時に新たに妊娠線ができるパターンも珍しくありません。

妊娠線の予防と対策

妊娠線はやがて白っぽく退色していき目立ちにくくなりますが、レーザー治療などを行わない限り完全に消えることはありません。できることなら妊娠線を作ることなく出産を終えたいと願う人は多いでしょう。
現在、妊娠線に確実に有効だとして医学的に実証されている予防策は残念ながらありません。しかし、一般的に効果があると言われている手段はいくつかあります。
「きっとなにしても妊娠線はできてしまうから…」とはなから諦めず、自分なりに予防に取り組んでみましょう。

なお、いずれも担当医と相談してくれぐれも無理のないよう取り入れてみてください

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1.体重の急激な増加を抑える

急速な体型の変化が一番の要因とも言えるため、まずはこの点に気をつけるのが良いでしょう。
安定期以降は食欲亢進により体重の増加が顕著になる人が少なくありません。急激な増量は妊娠線ができやすくなるどころではなく、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの罹患や胎内肥満児のリスクが高まるため、健診でも適切な体重管理が指導されます。
もちろん過度な食事制限などはもってのほかですが、医師の指導に従い適切な栄養管理をすることで急激な体重の増加を防ぐことは、健康のためにも妊娠線の予防としても欠かすことができません。
妊娠線ができにくい理想の体重変動幅はプラス8~10kgほどです。12kg以上は増えないように気をつけましょう。

2.運動をする

体調に問題がなければ軽い運動を取り入れるようにしましょう。過剰に皮下脂肪がつかないようにするとともに、筋肉の衰えを防ぐことが重要なポイントです。
筋肉があることでお腹が急速に膨らむことをある程度抑えることができるため、真皮へ急激に負担がかかるのを防止できるとされます。また、新陳代謝が良くなることで停滞しがちな妊娠中の肌のターンオーバーを促進することに繋がり真皮の状態も向上するため、妊娠線ができやすい状態を改善する効果が期待できます。
妊娠線対策としてだけではありません。妊娠するとそれまでに比べ動くことが減るため筋肉や体力が衰えがちですが、運動を取り入れることでむくみや冷えなどのマイナートラブルの改善、出産と育児への体力作り、産後の体型戻しなど様々なメリットをもたらします。
あくまでも体調に配慮して、まずはウォーキングから始めて、マタニティスイミングなど妊婦に負担が少ない運動を継続しましょう。

3.妊娠線予防クリーム・オイルで保湿ケアをする

妊娠線を予防する必要不可欠なアイテムとして保湿ケア用品がよく挙げられます。
お腹が大きくなって皮膚が引き伸ばされても、肌に水分と油分がしっかり保たれていれば柔軟性が高くなるため妊娠線が発生しにくいと考えられています。また、ホルモンバランスにより乾燥肌、敏感肌気味になりかゆみが出やすくなっていることもありますが、保湿をすることで軽減が期待できます。
いわゆる妊娠線クリームや妊娠線オイルなどが人気ですが、クリームとオイルは異なる性質を持ちます。自分に合ったもの、使いやすいものなどを探してみましょう。

妊娠線クリーム

種類が豊富で水分と油分の両方を含んでいるため肌に馴染みやすいとされます。摩擦で肌を刺激することがないよう、伸びの良いタイプを選ぶのがおすすめ。それだけでなく、自分の肌に合わせて低刺激のものを選ぶなどしましょう。
一般的にオイルより保湿力は劣るとされますが、それでも充分な保湿力のあるものも多くあります。例として、雑誌やSNSでも人気のクリームを紹介しておきます。

まずは、『たまひよ』赤ちゃんグッズ大賞妊娠用ボディケアアイテム部門で第1位を獲得したこちらのクリーム。

mamakids

皮膚科専門医と産婦人科医が協力して開発に協力し、産後も赤ちゃんと使える低刺激タイプであるにも関わらず、保湿効果もしっかり確保されています。
ポンプボトルタイプは便利な反面中身の酸化が気になるものですが、こちらは二重構造になっているため、防腐剤の使用を限りなく減らすことに成功しています。

ママ&キッズ ナチュラルマーククリーム 公式サイトへ

また、出産を経験したスタッフたちが開発したこちらのクリーム。

beltamc

低刺激かつ高保湿なだけでなく、肌バランスの引き締めや美容効果も考えられており、産後のボディケアとしてもそのまま継続して使用できます。使いやすいコンパクトなチューブタイプなのも嬉しいポイント。

ベルタ マザークリーム 公式サイトへ

妊娠線オイル

クリームより保湿力が高く、よく伸びます。その特有の質感が苦手という人がクリームと比較して多い傾向にあります。
クリームとオイルどちらが良いか迷うところですが、先にクリームで肌を馴染ませてからオイルをさらに重ね塗りしてしっかり保湿するW使いもおすすめ。いずれの場合も、お腹だけではなく二の腕、胸周り、お尻、太ももなども忘れずにケアしましょう。

風呂上がりなどは気化熱によりいっそう乾燥しやすい状態になっているため必ず塗るようにしたほうが良いでしょう。お風呂上がり以外のタイミングでも、リラックスしたいときなどにマッサージを兼ねて行うのもおすすめです。
お腹部分に塗布するときは、赤ちゃんへの刺激になってしまう可能性があるので強くせず優しくマッサージし、お腹が張っているときなどは中止しましょう。

妊娠線の予防はいつからやるべき?

特に妊娠線予防に良いとされる3つの方法を紹介しましたが、実際にはいつから取り入れたら良いの?と疑問に思う人もいるでしょう。
体質により差がありますが、早い段階から予防に取り組んでも損することはありません。運動や保湿ケアなどはとくに継続して行うことで効果が上げられるうえ、習慣づけることが大切だからです。
もちろん初期はつわりに見舞われることも多く、体調が安定しないため無理に行うべきではありません。安定期に入る妊娠16週ごろから始める人が多いようです。
妊娠32週以降~後期になると表皮がさらに引っ張られるようになるため、朝晩2回塗るなどすると良いでしょう。

もし妊娠線ができたら

とても気をつけて過ごしていたのにあっさり妊娠線ができてしまった…というのもよくある話です。そうなったときは気をつけていたぶんだけショックを受けるかも知れません。
日本で妊娠線は「母親の勲章」と例えられ、アメリカでは自分のコンプレックスとしてではなく自分らしさの一部として受け入れ、Instagramで#LoveYouesLineとハッシュタグをつけて自分の妊娠線の写真を公開する人が多くいます。
決して悲観的にならず、人生にそうない大切な経験をした証として考えてみましょう。

専門家コメント
妊娠線のマッサージはただ保湿をするという点だけでなく、お腹の赤ちゃんを慈しんだり、母性を成長させたりすることにも役立ちます。
妊娠前からできるベビーマッサージのつもりで、「赤ちゃんの向きはどこかしら?」などと思いを巡らせながら、気分を変えて数種類のクリームやオイルで楽しくマッサージできると良いですね。

【監修】浅井貴子 先生

浅井 貴子(あさい たかこ)東京都在住フリーランス助産師 大学病院、未熟児センター勤務ののちフリーランスとして活躍。現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、年...

プロフィール

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