【専門家監修】妊娠の兆候とは?妊娠初期の症状と体験談をチェック

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。
妊娠したかどうか、毎月ドキドキしながら過ごしている人もいることでしょう。
ドラマなどでは突然吐き気を催して妊娠に気づくシーンが多く見られますが、妊娠初期特有の症状や兆候、体の変化としてどんなものがあるのか、いざ検査薬を試すまえに知っておきたいところ。
実際は実に様々な兆候が見られます。
今回は、アンケートにより寄せられた回答を交えつつお届けします。ぜひご自身の想像や経験と照らし合わせてみてくださいね。
(アンケート実施期間:2020年2月25日~3月1日 妊娠中・産後の女性963人が回答)

妊娠週数の数え方
予備知識として、月齢の数え方を確認しておきましょう。
着床してから月齢を数え始めると思っている人も多いですが、実際は最後の生理開始日から数え始めます。
標準的な28日周期で数えると、生理開始日から約14日後に排卵し受精、そこから約7~10日後に子宮内膜に着床を開始し、さらに約3~5日ほどかけて着床を完了します。そこでようやく妊娠が成立したと見なされます。ここで着床しないと、また生理が訪れる仕組みです。
この着床のころまでの時期を、一般的に「妊娠超初期」と呼びます。
【妊娠超初期】妊娠1ヶ月(0~3週)の症状
この時期は月経と排卵ののち、受精と着床が行われ、妊娠はまだ成立していない状態です。子宮の大きさも、非妊娠時と同じ鶏卵大ほどのサイズのまま。
着床しないと体に変化は現れないので、つわりなどは起こりません。
この時期の症状
前述したように、妊娠が成立しない限り症状が出ることはほとんどありません。ですが、着床に伴い変化が見られる人もいます。
着床出血
子宮内膜に受精卵が入り込む際に少し溶け、出血が起きることがあります。また、急激なホルモンバランスの変化により出血する場合もあります。いずれの場合も着床のころに起きるため「着床出血」「妊娠出血」などと呼ばれます。
生理予定日の少し前から生理予定日にかけて起きますが、出血量がごく少量(拭いたらつく程度)で日数も短いため生理と見分けをつけることができます。
ですが、もともと生理不順だったり少なかったりする人などは、生理だと思ってしまうこともあるようです。
妊娠した人のうち、着床出血がなかった人のほうが多いと言われています。
【妊娠初期】妊娠2~4ヶ月(4~15週)の症状と体験談
妊娠初期というと、一般的には妊娠2ヶ月~4ヶ月を指します。
妊娠2ヶ月目(妊娠4週~)のはじめごろに妊娠に気づく人が多いですが、生理が来ないことをきっかけに検査をする人が多いためです。ですが人によってはもともと生理が遅れがちだったりすることも珍しくないため、妊娠3ヶ月目で気づく人もいます。
みんなの体験談から見る!この時期の症状
早い人では妊娠2ヶ月に入ったころからつわりが始まる人も。つわりというほどでなくとも、いつもとは違った症状を感じることが増え始めます。
ここから安定期に入るまでが、つわりのピークであることが多いでしょう。着床が完了し妊娠が成立したばかりのこの時期は、ホルモンバランスが大きく変化し始めるために様々な症状が出ると考えられています。
アンケートの結果、なにかしらの症状があった人の割合はなんと94%にものぼりました。体調の変化で妊娠に気づいた人も多い様子。
では、代表的な変化を見てみましょう。アンケート(複数選択可)の結果は下記の通り。
胃の不調
目では食べたいのに、食べると辛い。お腹いっぱい食べたいのに、食べれない。ことが出産直前まで続き、大食い番組をみてストレス発散していました。
食べても食べなくても常に気持ち悪かったです。
妊娠すると吐き気を催しやすくなるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?胃の不調に由来する現象ですが、原因となるプロゲステロンは腸だけでなく、消化器官の動きを抑制し胃にも影響を及ぼすためです。痛み、もたれ、ムカムカ、膨満感、吐き気…など悪阻(つわり)と呼ばれるなにかしらの胃の不調もよく見られる症状です。
異常な眠気
初期はとにかく眠い。仕事中もお昼休みに昼寝をしないと持たなかったので、車の中で仮眠。夜も21時には就寝していました。
大きな症状はなかったが、眠気がすごく仕事中にもカクッとしてしまう事が何度かあった。
とにかく眠い!という症状に見舞われた人も多いようです。「眠りづわり」「寝づわり」とも表現されることがあるほどです。
プロゲステロンという女性ホルモンが妊娠に伴い増えることで眠くなると考えられています。また、妊娠に伴う心身の変化により以前より睡眠の質が低下してしまい、日中も眠気を催してしまうという場合もあり生あくびが出る人もいます。
においに敏感になる
ご飯が炊ける匂いが、全然ダメ!冷たい状態じゃないとご飯は食べられなかった
好きなシャンプーの匂いも気分が悪くなり、シャンプーやボディソープの匂いでえづいていたのでお風呂に入りたくなかった…
エストロゲンというホルモンが増えることにより嗅覚が敏感になり、今まで気にならなかった匂いがダメになってしまいます。
食べ物の匂いがダメになる人もいれば化粧品の匂いがダメになる人など様々。なかにはパートナーの匂いが受け付けなくなってしまったというパターンも。
倦怠感
妊娠に気づく超初期は体が怠かったのですが、その後の体調不良は全くありませんでした。
とにかく疲れやすくなった。仕事に行く以外は基本ベッドで横になってる。
プロゲステロンの働きにより代謝が活性化し体力を消耗するうえ、血流や血圧の変化などが重なって疲れやすくなり、体のだるさとして表れと考えられています。
頻尿
代謝の活性化、血流の増加により腎臓の働きが促され、尿量が増えやすくなります。
また、以前より子宮が少し大きくなるため膀胱が圧迫されやすくなり、尿を溜めておける量が減ると考えられています。妊娠中期ごろになると、子宮の位置が変わるため膀胱が圧迫されることによる頻尿は改善されることが多いようです。
便秘・下痢
食べづわりかつ消化不良で便秘だった為、早めから整腸剤の処方をお願いした
プロゲステロンは子宮の筋肉の収縮を抑える働きをもたらしますが、同時に腸の働きも抑えてしまうため便秘になりやすくなります。逆に、ホルモンバランスの変化に伴い自律神経のバランスが乱れ下痢を引き起こすことも。
気分が安定しない
落ち込みやすくなったり、怒りっぽくなったりと気分の浮き沈みが激しい状態になることも。やはりこれも女性ホルモンの影響です。今までとはホルモンの分泌期間やバランスが大きく変化するため、情緒にまで影響が出ると考えられています。
また、つわりによる体調の悪さにより心が塞いでしまっているケースもあります。
胸の張り・痛み
乳房が張って痛んだり、人によっては乳首が敏感になりかゆくなったり痛んだりすることもあるようです。ブラジャーがきつくなる人も多いです。
プロゲステロン、エストロゲンいずれのホルモンも乳腺や乳管を発達させる作用があるためです。
ほかにも様々な変化が
妊娠初期に体験した兆候としてよく挙げられる代表的な症状を紹介しましたが、ほかにも頭痛やほてり、動悸、股関節の痛み、唾液が増える、鼻水が止まらなくなる、おりものが増える、聴覚過敏などの回答もありました。
中にはお風呂の湯気がだめになり入浴できなくなった、耳管閉鎖症になったなどのケースも!人により体調の変化が千差万別であることがよくわかりますね。
注意点
症状がある=妊娠確定ではない
これらの症状は、妊娠を確定させるものではありません。基本的にPMS(月経前症候群)と似た症状が多く、また体温が高い状態が続くこともあり風邪の初期症状とも似ている場合もあります。とくに普段からPMSの症状が出やすい人であれば、なおさら見分けはつきにくいでしょう。
逆に、妊娠したからと言ってこれらの兆候が必ず表れるわけでもありません。個人差が大きいものであることをまず念頭に置いておきましょう。
服薬、ビタミンAの摂取などに注意する
頭痛や胃の不調といった症状が出たときに、いつもなら薬を飲んで対処するという人は多いと思います。ですがそれがもし妊娠による可能性が考えられるタイミングであれば、胎児への影響を考えて妊娠していないことが判明しない限り服薬は念のため我慢しておきましょう。アルコールや喫煙も我慢です。
ビタミンAの過剰摂取についても、特に妊娠初期には気をつけるべきとされていますから注意が必要です。

妊活や妊娠初期に有効な栄養を摂る
逆に、細胞や血を作るのに必要な葉酸や鉄分などは意識的に摂取量を増やしておくと良いでしょう。特に葉酸は、不足しがちな栄養素であるにも関わらず胎児の先天性異常のリスクを低下させる働きを持つため、厚生労働省からも進んで摂取するよう呼びかけられています。

妊娠中に飲むことを考えて作られたサプリメントも多くあります。

おすすめは、ゲンナイ製薬の「プレミン」。通常の葉酸サプリメントと一線を画しているのは、妊活~妊娠初期、妊娠16週~出産、授乳期の3つの時期に合わせた配合で、プログラムとして展開していることです。
厚生省では葉酸の摂取推奨量を発表していますが、妊娠期、授乳期などでその推奨量は異なります。一般的な葉酸サプリメントは一定の配合量のもののみ展開していますが、プレミンはそのときの自分の状態に合ったものを選べるので、自然に適正な量の葉酸を摂取することが可能です。
ミネラルやビタミンも同時にバランス良く含まれていながら、美容成分は一切入っていないシンプルなサプリメントです。
より妊娠を推測したいなら
症状のみで判断するのは難しいため、より妊娠の可能性を見極めたいのなら、基礎体温を普段からつけるのがおすすめ。グラフの周期から排卵や生理予定日の予測がつきやすくなります。
生理予定日を過ぎても高い体温を維持したままで生理が始まらなければ、妊娠の可能性があると推測できます。
また、予定日前から予定日にかけてのタイミングで少量の出血があった場合も、体温の推移から排卵出血かどうかおおよその見当をつけることができるでしょう。
毎朝起床時に専用の体温計で測定し、体温の変動を記録しグラフ化するのが一般的。記録用のスマホ用アプリも数多くあるのでデータ管理も簡単です。
妊娠の可能性があるときだけでなく、なにかしら不調があるときにも診察時に記録を見せると参考にしてもらえます。
妊娠検査薬でチェックするなら
人により様々な症状があったりなかったりする妊娠初期。結局、妊娠した人すべてに必ず訪れる兆候は「生理が来ないこと」です。
特に規則正しい生理周期の人であれば、2・3日遅れているだけでも妊娠の可能性を考えるでしょう。
可能性を考えた時点ですぐに妊娠検査薬を試したくなるところですが、受精卵が着床後に分泌され始めるhCGホルモンの尿中の濃度が一定以上にならないと正しい判定ができない仕組みのため、通常の妊娠検査薬は生理予定日より1週間ほど経過しないと使用することができません。
生理周期が安定しておらず生理予定日がはっきりしない場合は、性交渉があった日から3週間経ってから検査薬を使用すると良いでしょう。
早期妊娠検査薬ならいち早く判定できる
とは言っても、妊娠しているかどうか一刻も早く調べたい、生理予定日から1週間も待てない!というケースもありますよね。
早期妊娠検査薬であれば、通常の妊娠検査薬より少ないhCGホルモンに反応するように作られているため生理予定日から使用することができます。普通の妊娠検査薬は第2種医薬品に分類されますが、早期妊娠検査薬は医療用体外診断用医薬品に分類されるため店舗での購入は薬剤師による対面販売のみとなっています。
下記のサイトで販売店を確認することができます。
通信販売であれば、海外製の早期妊娠検査薬も入手することができます。
最終的には必ず産婦人科へ
もし様々な兆候があったうえで生理が来ていなくても、確実に妊娠しているとは限りません。また、妊娠検査薬もあくまで簡易検査であり、排卵のタイミングやホルモン分泌量の個人差などによっては判定結果に影響を及ぼしている場合もあります。
どのみち生理が来ないようであれば、妊娠によるものなのかそれ以外の理由によるものなのか、妊娠しているとしても正常な妊娠なのかどうか、医師に確認してもらうことになります。子宮外妊娠など異所性妊娠との鑑別も大切なので、きちんと産婦人科を受診しましょう。
まとめ
妊娠の兆候とされる様々な症状は前述したようにPMSや風邪とも見分けがつきにくく、妊娠を断定できるものではありません。あくまでもひとつの目安としておきましょう。
また、普段から自分の生理周期や基礎体温を把握しておくことで、体の変化に気づきやすくなります。
日頃からバランスの取れた食生活を心がけて妊娠に備えるとともに、自分の体の状態を気にかけておきましょう。

母性保護の観点でも、初期でも体調が悪いときは勤務の配置転換など調整をしてもらうことも必要です。職場の上司や人事に相談してみることもときには必要です。
パートナーにも早く帰ってきてもらったり、新しい命を喜び一緒に育む時間を共有し、大切にしてください。