【専門家監修】授乳はいつまで続ける?WHOの見解は2歳までだけど…

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出産・育児

助産師・浅井貴子先生による監修記事です。

赤ちゃんが産まれると始まる授乳ですが、成長するにつれて「いつまで続けたらいいの?」という疑問を抱えるお母さんも増えてきます。
授乳の終わりには、お母さんのタイミングでやめる”断乳”と、赤ちゃんが自分から飲まなくなる”卒乳”の2パターンがあります。また、少しずつ授乳回数を減らすなど、卒乳に向けてお母さんが調整していくことも。

今回は、様々な悩みや疑問の出てくる授乳の終わり方について、詳しく解説していきます。

授乳が必要なのはいつまで?

はじめに明言しておくと、授乳を続ける期間は母子によって様々です。短いとダメ、長いと悪影響、ということは基本的にありません。
やむを得ない事情で母乳育児ができないお母さんもたくさんいますが、ミルクをしっかり飲ませることができれば大丈夫。また、長く授乳することで得られるメリットもたくさんあるので、”いつまでに終わらせるべき”という指標はないんです。

WHOが出す授乳への見解

WHO(世界保健機関)では、授乳は2歳以上まで続けることを推奨しています。その理由として、下記の7つのメリットが挙げられています。

  1. 母乳から免疫を得られる
  2. 赤ちゃんが消化不良を起こしにくい
  3. アレルギーのリスクが低い
  4. お母さんの子宮復古を促す
  5. 母子のスキンシップにもなる
  6. 衛生面でのリスクが抑えられる
  7. 経済的に子育てできる

特に発展途上国などでは栄養面、衛生面、経済面などから母乳育児を続けることで赤ちゃんの死亡率を抑える効果が期待できます。
しかし環境の整っている先進国においては、早めに授乳を終えてもしっかりとミルクや離乳食で赤ちゃんを育てることは可能です。そのため日本を含めた先進国の多くでは1歳未満に授乳をやめる母子も多く、長くても1歳半前までに終えるケースが目立ちます。

母乳はいつまで出る?

母乳は、赤ちゃんの成長に合わせて出る量が減って、授乳が終わる…と思っている人もいるのでは?
ところが実際は、授乳を続けている限り、自然と母乳が出なくなるということはありません。母乳の製造にはプロラクチンというホルモンが関わっていて、乳首を刺激することで分泌されるものだからです。
赤ちゃんがおっぱいを吸わなくなるまで授乳は続けられますし、逆に何らかの事情で授乳しない状態が続くと母乳の出が悪くなることも。卒乳・断乳時もピタリと母乳が出なくなるわけではなく、2,3週間かけて徐々に出る量が少なくなっていきます。
産後のお母さんがすぐに授乳を開始するよう指導されるのも、このメカニズムが関わっているんですよ。

3時間おきの授乳はいつまで?

昼夜を問わず3時間おきに授乳を続けるのは、離乳食が始まる生後5、6ヵ月までが目安です。
とはいえ、いきなり朝までまとまった睡眠がとれるようになるわけではなく、徐々に間隔が空いていくのが一般的。離乳食は母乳より腹持ちがいいので、自然と頻度が減っていくイメージです。

離乳食の後の授乳は食後に、足りていない量を補うように飲ませます。生後9~11か月の離乳食後期で、離乳食が8割、母乳が2割程度の配分を目安にしてみて。食後以外の授乳は赤ちゃんが欲しがるときに、欲しがるだけだけ与えるのが基本。
早めの卒乳や断乳を目指すなら、グズったらすぐに飲ませるのではなく、遊びや抱っこなどで気を紛らわせながら間隔を空けていくとスムーズです。

授乳が減ると水分不足になりがちなので、湯冷ましや麦茶などカフェインレスの飲み物で水分補給をしていきましょう。
身体の発育に必要な栄養素は食事から摂るようにシフトしていくので、離乳食が進んでくると授乳は母子の精神安定としての役割を果たす面が大きくなってきます。

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2人目を妊娠中の授乳はいつまで?

妊娠中の授乳については、妊娠の経過が良好であれば続けても問題ないと言われています。
しかし、赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うと分泌されるオキシトシンには子宮収縮の作用があるため、断乳を指示されるケースも。病院と相談しながら、お母さんの希望も合わせて判断できるといいですね。

妊娠中も授乳を続けるメリットとしては、上の子の不安を軽減できる、2人目の授乳をスムーズに始めやすい、などが挙げられます。
また、妊娠すると母乳の味が変わるとも言われており、変化に気付いて上の子が自ら卒乳するケースも珍しくはありません。その場合は前向きな言葉がけをしながら、栄養面、精神面のフォローをしていきましょう。

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保育園に預けるなら授乳はいつまで?

早めに授乳を終わらせるお母さんの中には、職場復帰を理由の一つに挙げる場合もありますよね。ちょうどいい機会だからと前向きにとらえられる人もいれば、本当はもっと続けたいのに…と思ってしまう人もいるのでは。
どちらが正しいということはなく、お母さんの希望や周囲の環境などによっても選択肢は異なります。また、授乳を続けようしたものの結果的にやめることになってしまう、というケースも少なくありません。
授乳が終わっても子育ては続きます。深刻になりすぎず、環境やお母さんの気持ちに少しでも寄り添った選択を選べるといいですね。

授乳を続けながら就労する方法

最近は、就労しながらも授乳を続けているお母さんも増えてきています。働きながら授乳を続ける方法にも、色々なパターンがあります。

  • 搾乳した冷凍母乳を哺乳瓶で飲ませてもらう
  • 仕事の合間に授乳をしに保育園へ足を運ぶ
  • 保育終了後の時間だけ授乳をする

保育園や職場の理解と協力をはじめ、立地や生活サイクルなど様々な要因でどんな方法が適しているかは異なります。哺乳瓶を嫌がる子も意外と多いですし、冷凍母乳は管理が難しいのでミルクにしてほしいと保育園から言われることもあります。就業中は授乳しないとしても、お母さんの身体は一定の時間に合わせて母乳を作り続けてしまうため、数時間おきに圧抜きをする必要が出てくることも。
いずれの方法も、お母さんと赤ちゃんの気持ちのほかに、保育園や職場の理解と協力が必要不可欠です。場合によっては、お父さんの協力が必要になることもあるでしょう。

授乳の間隔が空くことで、自然と出る量が少なくなっていくことも。ある程度、仕事や保育園に慣れてきたタイミングで授乳を終えるという選択肢も取れます。
授乳はお母さんと赤ちゃんのリラックスタイムとしての役割も担っているため、無理をしすぎず、ストレスなく続けられる方法を探してみてくださいね。

職場復帰までに授乳を終わらせるなら

職場復帰で保育園に通い始めるまでに授乳を終わらせておきたいなら、その数ヶ月前から少しずつ準備を始められるとスムーズです。
授乳を終わらせる方法には大きく分けて2つのパターンがあります。

  • 少しずつ授乳回数を減らして卒乳できるよう誘導する
  • 断乳日を決めてその日以降は授乳をやめる

どちらも、スムーズに進む場合もあれば、赤ちゃんが泣いてしまいなかなかやめられないという場合もあります。ギリギリまでやめられなかったのに保育園に通い始めたらあっさりやめられる子もいれば、逆にぶり返してしまう子も。
絶対にやめなければいけないと焦る気持ちは赤ちゃんにも伝わるものです。保育園の協力も得ながらなんとかなる、なるようになる、とおおらかな気持ちで卒乳・断乳に向かえるといいですね。

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授乳はお母さんが”いい”と思うまで

授乳をいつまで続けたらいいのか悩むお母さんも多いですが、答えは人それぞれです。お母さんが「そろそろいいかな」と思うタイミングが、やめどきと言ってもいいでしょう。
また、妊娠や職場復帰などの理由でやめるケースも多いもの。赤ちゃんの離乳食が進み、水分補給もできていれば早すぎるということもありません。心配しすぎず、おおらかな気持ちで卒乳・断乳を迎えましょう。

専門家コメント
卒乳、断乳については100人いれば100通りのやり方があります。どの方法がよいかはやってみないとわかりませんが、迷っている時は前に進まず立ち止まってみる事もあってもよいかと思います。
卒乳、断乳したら助産師さんに残乳処理のクリーニング(搾乳)してもらえると、気持ちもおっぱいもすっきりするでしょう。

【監修】浅井貴子 先生

浅井 貴子(あさい たかこ)東京都在住フリーランス助産師 大学病院、未熟児センター勤務ののちフリーランスとして活躍。現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、年...

プロフィール

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